平成21年度は、80HdGと発達、小児期の疾患との関連に関する情報収集、研究の予備実験を行った。 情報収集により小児期の様々な疾患に活性酸素種や酸化損傷が含まれているという状況証拠が近年、関心が持たれていることが分かった。具体的な疾患としては、敗血症、髄膜炎、脳炎、脳障害、HIV感染症、川崎病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、慢性扁桃腺炎、慢性関節炎、高血圧、腎不全、甲状腺機能亢進症、真性糖尿病、肥満、栄養障害、非アルコール性脂肪肝、ウイルソン病(銅の蓄積を来す遺伝性疾患)、白血病、鎌状赤血球性貧血、筋ジストロフィー、ミトコンドリア病、てんかん、精神疾患、ダウン症、早産関連疾患が報告されていた。また、健常児に関する酸化ストレスの状況や測定のための尿中バイオマーカーを総合的に調べた研究では、8-OHdGの尿排泄が若年ほど高く、思春期早期に定常レベルまで減少し、年齢に伴う有意な負の相関が認めることが報告されていた。このことから、本研究では、対照群となる健常児と、被検者群の脳性麻痺児の年齢を完全に一致させて研究を行う必要性があることが分かった。 また、予備実験として学齢期の児童3名に対して、運動前後の採尿を実際に行った。採尿を行った後、15分間の運動を行い、その後再び採尿を行った。その結果、拘束時間が最も長い児で5時間近くとなり、被検者にかかる負担が大きすぎるため運動前後の採尿以外の方法の検討の必要性が生じた。 文献による調査を行い、加速度計による運動量の計測が本研究の目的に合致する指標としていると考えられた。
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