研究概要 |
小児版・作業に関する自己評価(COSA)は日常的活動についての子ども自身の作業有能性と価値というQOLに関連した認識を捉えることができる評価法である.評価実施後の面接を通して,発達障害のあるクライアントと作業療法支援を行うセラピストとの共通した目標設定と介入計画をもたらすクライアント中心の評価法であり,効果測定にも使用可能なものである.この評価法を用いた発達障害児への作業療法介入を可能にすることが研究の目的である.その中でも本年度の目的は,COSAの日本版を作成するために収集した健常児のデータについて,アメリカで開発された子どものQOLを測定する尺度である日本語版PedsQLを用いて,基準関連妥当性を検討することである 通常学級に通う小学3年生と6年生合計356名を対象に,集団で日本版COSAと日本語版PedsQLを実施し,両尺度の合計得点,各下位尺度得点を用いて,Spearmanの順位相関係数を算出した.その結果,日本版COSA作業有能性得点と日本語版PedsQL合計得点(rs=-.147,P=0.007)および学校下位尺度得点(rs=-.225,P=0.000)で1%水準の有意な相関が認められ,感情の機能下位尺度得点rs=-.121,P=0.028)で5%水準の有意な相関が認められた.COSAは作業参加に関して,作業有能性と重要性(価値)を自己評価する尺度である.作業有能性とは,「生産的であり,満足する作業行動のパターンを維持すること」と定義され,有能性が高くなることにより満足度が向上することが考えられる.COSAでは質問項目に対して自己の有能さの程度を考えて回答するものであり,得点が高いほど有能性は高いことを示している.一方,PedsQLでは得点が高いほどQOLは低いことを示している.本研究の結果から日本版COSAと日本語版PedsQLの得点は一貫して負の相関を示していた.以上より,日本版COSAが子どものQOLを部分的に評価しているものと考えられた
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