研究当初の予定ではアルコール依存症者(以下ア症者)心理的な側面についての量的調査を、下記計画に基づき行う予定であった。 研究1:刺激薬物再使用リスク評価尺度(SRRS)のアルコール依存症者への適用 研究2:アルコール依存症者における自己意識 研究3:アルコール依存症者における自己内省 研究4:アルコール依存症者における特性不安 研究5:アルコール依存症者の回復過程における自己意識・自己内省の縦断的調査 しかし文献研究を進めるにあたり、これらの調査当初予定していた尺度の利用について、特に自己心理学分野について見直しが必要である可能性もあると考えられた。このため今年度は上記研究計画1~4に新しい要素を加えた上で材料を完成させること、及び可能であれば研究1・4の遂行を目標としていた。しかしさらに状況が変化し、例えば研究1について、SRRSを開発した東京都精神医学研究所が、アルコールに特化した尺度ARRSが開発しため、研究計画に変更が生じた。また、文献研究の結果、新たな検討項目としてポジティブ・イリュージョン、さらに臨床への活用を視野に入れ、対人関係スキル等を盛り込むことを検討中である。しかし対象者の負担を考慮し、質問項目を精査し、項目数を減らさなくてはならないため、今後も慎重に検討していく。
|