平成21年度は研究の基盤となる資料の収集と視察見学・インタビュー調査を行った。国内外の大学における学習支援に関する資料、アスリート学生に関する資料収集は電子情報を中心に行った。体育学部を持たない大学が国内トップレベルで活躍するアスリート(アスリート学生)をどのような形でどの程度の数入学許可をしているのか、また入学時の条件(奨学金等)、入学後の学習面でのサポートの有無については各大学の入学案内、入試資料、関係者からのヒアリングにて情報を収集した。 またカナダにおいて、学力も学生アスリートの競技レベルも高いブリティッシュコロンビア大学を訪問し、施設見学に加え、アスリートデパートメント部長、学習支援プログラム担当者に対して、アスリート学生への学習支援体制についてのインタビュー調査を行った。 平成22年度で質問紙での調査を予定しており、そのための準備調査であったが、体育系学部をもたずに積極的にアスリートを受け入れる大学は多くあったが、入学の基準、条件などはあまり明確でないことがわかった。また、入学後の学習支援についてはアスリート学生に特化した参考文献はほとんど皆無であり、体系的な取り組みはほとんどなされていないことがわかった。 米国のNCAAのようなアスリート学生に対して学業の維持を義務付ける横断的なシステムがない我が国においては、競技や大会、合宿などに忙しいアスリート学生がしっかり学業をおさめられるか否かは各大学の責任とサポートの体制にゆだねられていると言える。しかし、現在、過去において学習面における大学側の積極的なサポートはあまりみられなかった。本研究において体育系学部をもたない大学におけるアスリート学生の状況や学習支援の現状を明確にすることは、将来的に大学におけるアスリート学生への学習支援システムの構築のために必要であると考える。
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