本研究は、片麻痺者の呼吸機能、および運動機能に特化した評価を行い片麻痺患者の連続歩行を制限する息切れ、疲労感、呼吸苦の因子が運動器の障害であるのか、または呼吸機能の影響なのかを明確にする事で、従来行われてきたアプローチが妥当な対応策であるのか判断することを目的とした。対象患者に100mの連続歩行を行った後に修正ボルグスケールにて呼吸苦の主観性を調査し、呼吸苦有り群・なし群で群分けを行い呼吸機能、非麻痺側下肢伸展筋力、体幹可動性、胸郭拡張差、機能的自立度評価、Functional reachなどを測定した。FEV/HTは、呼吸苦ありが有意に高い値を示しPEF/HTでは呼吸苦ありが有意に低い値を示した。本研究の結果では、片麻痺患者の体力低下は非麻痺側下肢筋力、胸郭拡張差や体幹回旋可動域、機能的自立度評価、Functional reachなどの運動器の影響は少なく、呼吸器によるもの、特に中枢気道の気流制限による影響が大きいという事が推察された。
|