研究概要 |
クロールのストローク技術の一つであるハイエルボー動作について、よりレベルの高い競泳選手を対象としてハイエルボー動作について評価した。対象は、日本選手権や日本学生選手権に出場経験のある男子競泳選手3名とし、クロールによる25m全力泳中のストローク動作を2台の水中カメラにより同期撮影した。対象者の右上肢の身体各部に貼付したマーカを手動によりディジタイズして各マーカの3次元座標値を求め、ハイエルボー動作を定量的に評価した。ハイエルボー動作の評価方法としては,対象者の手関節・肘関節・肩関節から成る平面に垂直なベクトルを水平面に投影し,進行方向を示すベクトルとのなす角度(Ihe)を求めることで評価した.その結果、プル局面における平均Iheは3.78±2.85(deg)であった.なお、その際の平均泳速度は1.80±0.15(m/s)であった。一般大学競泳選手を対象としたこれまでの申請者の結果では、Iheは21(deg)付近であったことから、より高いレベルを目指すためには、0(deg)付近になるようハイエルボー動作を行う必要があるといえる。以上のことから、ハイエルボー動作を指導するには,Iheが0(deg)付近になるように指導すべきであることが示唆された。また、競泳経験のある成人女性1名を対象とし、意識的にハイエルボー動作とローエルボー動作を行わせ、その際の大胸筋と広背筋の筋活動について表面筋電図を用いて計測した。その結果、大胸筋、広背筋の筋活動についてはどちらも同様の筋活動がみられた。ハイエルボー動作を行う場合、肩関節の内旋運動がみられることから、今後は肩関節内旋運動に関与する筋群を計測する必要がある。
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