研究概要 |
先行研究から亜鉛の代謝異常が鉄不応性貧血を発症させるという可能性が指摘されている。しかし、造血機構における亜鉛の作用メカニズムは不明である。 これまでに、亜鉛欠乏によりエリスロポエチン濃度が低下することをすでに報告している(Biol Trace Elem Res 107 : 289-292, 2005)。本年度実施の研究では、亜鉛代謝異常の一つの病態として亜鉛欠乏時の造血異常を検討するため、亜鉛欠乏ラットの組織を用いて、亜鉛欠乏がタンパク質合成レベルでどのような影響を与えているのかを検討した。また、腎臓中HO-1濃度をはじめとしたエリスロポエチン産生調節系について検討した。 たんぱく質の合成への影響に関しては、MALDI-TOF-MS^2を用いた。現時点ではたんぱく質の解析は完全に終了していないため、来年度も継続して変動の見られたタンパクの同定作業を行なう予定である。 腎臓中HIF濃度は、亜鉛欠乏では変化が見られなかった。しかし、腎臓中HO-1濃度には変化が見られ、pair-feed対照群が最も高値を示し、亜鉛欠乏群が最も低値を示した。本研究結果は、平成22年度の日本栄養・食糧学会大会などで公表する。
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