研究課題
亜鉛の投与が鉄不応性貧血に有効であるという報告があるが、造血機構における亜鉛の作用メカニズムは不明である。我々は、中等度亜鉛欠乏により血中エリスロポエチン濃度が低下することをすでに報告している(Biol Trace Elem Res 107 : 289-292,2005)。本研究では、中等度の亜鉛欠乏が腎臓中エリスロポエチン濃度について検討した。Sprague-Dawley系3週齢雄ラットを対照群(AIN-93G ; CON)、亜鉛欠乏群(Zn 4.5mg/kg diet(4.5ppm);ZD)、Pair-Fed群(AIN-93G ; PF)の3群に各10匹ずつ振り分け、各飼料とイオン交換水を摂取させ4週間飼育した。腎臓中エリスロポエチン濃度を測定した。データはFisherのPLSDで統計処理を行い、有意水準は5%とした。血中エリスロポエチン濃度はCON群に比べZD群が有意に低値を示し、PF群が低い傾向を示した。腎臓皮質中エリスロポエチン濃度はZD群がPF群に比べ低値を示し、有意差は見られなかったがPF群はCON群に比べ高い値を示した。腎臓髄質中エリスロポエチン濃度には差は見られなかったことから、腎臓での産生システムに違いがあることが明らかになった。現時点までに、MALDI-TOF-MS-MSによる分析を試みた。経費的な問題から限られた数のスポットしか分析対象にできなかった。今後、検討するタンパクのスポット数を増やすことにより、生理的意義の解釈が容易な結果が得られると確信している。
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