研究概要 |
筋弛緩動作における「巧みさ」の研究は、一定張力を維持する静的状態からの筋弛緩に先行して筋放電および張力が一過性に増加する現象(筋弛緩動作における一過性の張力発揮)を手がかりに行われている。筋弛緩に先行して筋放電および張力が増加した場合では、張力が増加しなかった試技と比較して、筋弛緩時間が短縮すると報告されている。しかし、筋弛緩動作における一過性の張力発揮時の筋収縮動態については明らかにされていない。そこで、本研究ではすばやい筋弛緩動作における筋収縮動態を明らかにする事を目的とした。被検者5名に、20%MVC, 40MVC, 60%MVCの持続的収縮から出来るだけすばやい弛緩動作を行わせた。前脛骨筋の超音波画像から筋束長変化を算出した結果、持続的筋収縮力の増加に伴い、筋束長変化速度は増大する傾向が認められた。しかし、筋弛緩動作に先行する一過性の張力発揮時においては、筋束長変化はほとんど確認されず、筋弛緩速度との間に明確な関係は認められなかった。また、筋弛緩動作における超音波画像は、弛緩開始時を同定することが困難であった。本研究では、超音波画像のサンプリング速度が60fps程度と少なかったことが、弛緩開始時を同定することが困難であった一つの原因であると考える。したがって、筋弛緩時の筋収縮動態をさらに高いサンプリング速度で記録することで、弛緩開始時を明確にすることが出来るであろう。
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