研究課題
本研究は、プログラミング授業課題ソースコードから作成者の記述スタイル特徴を抽出し、これを用いて盗用発見をはじめとした授業支援を行い、教員の肉体的・精神的負担を軽減することで、間接的にプログラミング授業の質を向上させることを目指している。本研究で提案した手法は作成者の記述特徴を学習させた複数の記述スタイルモデルに作成者未知のソースコードを入力した時の出力結果から、学習に用いたソースコードと新たに入力されたソースコードの作成者が同一であるか推定する。H21年に続き、H22年には次の内容を行った。(1)作成者特徴の類似に基づくソースコードの分類とその結果の可視化を行った。具体的には、自己組織化マップを用いて記述スタイルモデルの出力結果から生成した特徴ベクトルのクラスタリングを行った。このような出力結果は直感的に類似関係を読み取りやすいため、盗用発見システムの最終的な出力の一部として用いることが考えられる。(2)前年度に89名の学生を対象として実施したアンケートの分析結果を踏まえ、本研究の応用分野である教育学の国際会議において、本手法の盗用発見システムとしての性能と精神的負担の軽減効果という2つの観点から本手法の教育現場における適用について提案を行った。発表後の議論では教員学生双方の精神的負担軽減について本手法の有用性を支持するコメントが多く得られた。(3)既存手法の1つを用いて盗用発見を行い、明らかに類似度の高い(盗用の疑いのある)ソースコードのペアについて作成者認識を行い、異なる作成者の作成した(盗用の可能性の低い)ソースコードであることを確認した。さらに、本手法のアルゴリズムの一部を改良した上で、本手法と既存手法を用いた新たな授業課題ソースコード盗用発見手法を開発した。また、この手法が既存手法の高い類似性検出精度を維持しながらも誤検出を減少可能であることを実験により確認した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
International Journal of Innovative Computing, Information and Control
巻: Vol.7, No.7(採録決定済) ページ: 1-10-05012