1、制作空間の情報化を反映したデバイス開発 2、制作技術工程閲覧のための映像表示デバイスへの応用 復元職人の作業記録映像から実際のデバイス開発を行った。デジタルデータ編集プログラムや閲覧デバイスのハードウェアについても実際に運用されている状況を参考にし、いくつかのプロトタイプの制作が行えた。それらの情報をもとに完成品を開発した。情報収集に関してはデバイス設計のために予定していた機器の調査、開発後の職人への調査とその改良を十分に行い、実際に使用する3D閲覧デバイスができた。 その他、今後の研究発展もふまえ、閲覧だけでなく閲覧状態を記録するデータ収集についても研究、開発を始めることができた。実際に彫金技法を使用し制作している職人に完成版デバイスを使用し作業をしてもらいそのユーザビリティや情報の質について検討した。今後は本研究で開発したデバイスをより多くの方に使用してもらい、その有効性をまとめ論文等で発表する。 本研究での職人の視点から考察するという手法はこれまでとは違う文化財情報提示の可能性について考察できる有効な調査方法であった。今後、より多くの制作者の意見を収集し、これまでにない閲覧デバイス開発へと活かしていきたい。 このように文化財閲覧に関するデジタルデータの活用法についての研究と、実際に使用するデバイスを開発しその利用効率について考察することは今後より必要となってくる。本研究は文化財デジタルデータ活用について職人の視点から考察しているが、文化財復元や博物館展示での文化財閲覧の新たな方向性を示す上でも有効であり、将来に結びつく重要な情報の取得である。
|