申請書に記載した研究目的では、複数のWebサービスを連携させた複合Webサービスを構築するにあたって、構成要素となるWebサービス(原子Webサービス)の組み合わせの決定に取り組むとしている。そこで本年度は、制約充足問題の拡張としてWebサービスの組み合わせの決定を定式化する手法を提案した。特に本研究では、利用可能なWebサービスが十分多く存在しないために、どのようにWebサービスを組み合わせても利用者やサービス提供者の要件を満たすことができない場合に注目し、Webサービスの選択と実行時適応を包括的に行うプロセスを提案した。研究代表者のこれまでの成果である、サービススーパビジョンと呼ぶ複合Webサービスの実行制御技術を適用することで、与えられた要件を満たすようにWebサービスの性質を変化させる。サービスコンピューティング分野では、しばしば数千・数万といった多数のサービスの存在を前提にサービス連携の研究が行われるが、現時点ではそのような環境は実現されていない。一方で本研究は、利用可能なサービスへの制約がより大きい、現実的な環境でのサービス連携を実現することを重視している。この成果は、サービスコンピューティング分野の代表的な会議であるIEEE SCC 2010(The 7th International Conference on Services Computing;採択率18%)に採択され、発表が決定している。
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