今年度に実施した研究成果について、現実都市が持つツリー構造に注目した仮想都市を構築することが可能な、都市シミュレーション環境のプロトタイプを完成させた。具体的には、下記の環境を整備した。 1) 仮想都市構築のための統計情報加工ツールの開発 2) 加工した統計情報から仮想都市を構築するツールの開発 1)より、現在統計局より公開されている国勢調査の調査結果を利用して、日本に存在する任意の市町村を仮想都市として構築するために必要となる統計データを推計することを可能としている。2)においては、プログラミング経験を必要としない幅広い領域からの利用を想定している社会シミュレーション言語SOARSとの協力により、1)で得られた推計データをSOARSで仮想都市として表現することを可能としている。1)2)により、公開された統計情報から仮想都市を構築することができる環境を構築した。SOARSとの協力により、特別な技術を必要とせずに都市シミュレーションを行うための仮想都市を構築する環境が整えられている。 また、この環境を利用して、東京都大島町の仮想都市を構築し、社会現象の例としてインフルエンザが蔓延するモデルを構築した。実際に仮想都市を構築し、現実に起こりうる社会現象を表現したモデルを実装することにより、今年度に開発した都市シミュレーション環境のプロトタイプの利用可能性を示した。
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