当該年度に実施した研究の成果について、前年度に開発した仮想都市を構築する都市シミュレーション構築環境を利用して、いくつかの社会現象が実装されたモデル構築を行った。おもな構築した都市シミュレーションモデルは、以下の通りである。 1)離島におけるインフルエンザ流行シミュレーションモデル 2)二次医療圏における夜間救急医療シミュレーションモデル 3)高層住宅における内装工事シミュレーションモデル 上記の構築されたシミュレーションモデルより、開発した環境を利用して構築する仮想都市上に、現実社会に存在する社会現象が実装できることが示され、シミュレーションの結果を利用して対象とした社会現象の分析が行えることが確認できた。公衆衛生・医療サービスに限らず、サプライチェーンや都市計画など、本研究で開発した都市シミュレーションのための仮想都市環境が、幅広い分野で利用できる可能性が存在することを示した。今後、この環境を利用して、多くの都市シミュレーションモデルが構築されていくことが期待される。 また、個人で構築したモデルを管理するシステムまでが、実装されたのに対して、複数人と構築したモデルを共有できるシステムへと発展させることが、今後、この研究で開発したシステムへ残された課題である。なお、本研究の成果(公開された統計情報から仮想都市モデルを構築するシステム)は、社会シミュレーション言語SOARSとの協力により、SOARSの標準機能として採用された。
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