現在、排出されている都市ゴミなどの炭素を含む廃棄物(炭素系廃棄物)の多くが焼却処分され、多量のCO_2を排出し、地球温暖化に加担しているのが現状である。この炭素系廃棄物を鉄鋼製錬プロセスにおいて鉄鉱石の主要な還元材である石炭の代替原料として有効利用することができれば、石炭使用量を削減して日本国内のCO_2排出量を大幅に削減することが可能である。そこで本研究では、炭素系廃棄物の鉄鋼製錬プロセスへの有効利用の可能性を見出すために、都市ゴミの炭化物を還元材として利用した場合の炭素系廃棄物の酸化鉄の還元反応特性とその反応機構を明らかにすることを目的とした。都市ゴミ炭化物(都市ゴミを熱分解させたもの)と酸化鉄(Fe_2O_3試薬)を炭素と酸素のモル数が同じになるように混合し、タブレット状に加圧成型して混合体を作製した。また比較のために、還元材としてグラファイトを使用した混合体も作製した。電子天秤を備えた可動式縦型電気炉を用いて、この混合体を窒素ガス雰囲気下で所定の温度(1000℃、1100℃、1200℃)に急速加熱し、反応中の混合体の重量変化と排出ガス中のCOおよびCO_2ガス濃度を測定し、混合体の反応挙動を調査した。その結果、1000℃においてグラファイトを用いた混合体では反応が途中で停滞したが、都市ゴミ炭化物を用いた混合体では反応が停滞することなく反応が進行した。これは都市ゴミ炭化物がグラファイトよりも反応性が非常に良いため、1000℃でも還元反応が進行したためであると考える。また、いずれの温度においてもグラファイトよりも都市ゴミ炭化物を用いた混合体の方が、反応速度が大きかった。
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