研究概要 |
本研究では、現在一般的に使用されているゲル電気泳動法と比較して、ハイスループットな多次元タンパク質分離システムの開発を目的とする。現在、プロテオーム解析でのタンパク質分離法としてはゲル電気泳動法が一般的に用いられているが、更なる高性能化を目指し、液体クロマトグラフィーを用いたフロー系での高速タンパク質分離を構築し、これを基盤に新規タンパク質分離システム構築を検討した。液体クロマトグラフィーでは分離媒体であるカラムの開発が重要となるが,昨年度の成果として、タンパク質分離に最適化したワイドボアモノリスカラムを開発し、逆相モードによるタンパク質の高速分離が可能となった。更に、このシステムとイオン交換モードによるクロマトグラフィーシステムとをオンラインで接続し、多次元分離システムである二次元高速液体クロマトグラフィーシステムを構築した。等電点と疎水性の異なるタンパク質混合溶液を調整し、この新規システムで分析した結果、第一次元のイオン交換モードでは等電点による分離、第二次元の逆相モードでは疎水性による分離が確認できた。また、これまでに蓄積してきた分析条件と分析メソッドを利用し、システムのチューニングを行い、多様なタンパク質分離が可能となったので、酵母細胞より抽出したプロテオーム試料の分離を試みた。その結果、複雑なタンパク質混合物の分離が達成され、分離後のタンパク質を質量分析に供してタンパク質同定まで可能となった。以上の結果から,ワイドボアモノリスカラムを用いた二次元高速液体クロマトグラフィーシステムによるプロテオーム解析が達成できた。
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