研究課題
本研究の目的は、都市化が進むアジア途上国において、住民移転に焦点を当てて住民のエネルギーアクセス(エネルギー需要量、利用燃料)の変化を評価し、温室効果ガス排出に対するインパクトを分析することにより、都市化がもたらす地球温暖化への影響を測ることである。そのため途上国都市において、農村から都市への住民移転をもたらす要因、エネルギーアクセスの違い、更に都市への住民移転がもたらすエネルギー消費量やCO_2排出量の変化を分析するための調査を実施した。ハノイ・ジャカルタ・ダッカ・アーメダバードにおいて、データの取りまとめを行うと同時に記述統計量及び計量経済学手法を用いた分析を行い、農村から都市への移転によるエネルギー消費・CO_2排出量へのインパクトを分析した。特にハノイにおける分析の結果、エネルギー消費と、農村から都市に移転する場合のエネルギー消費量・CO_2排出量を検討した。農村から都市部に移転する場合、世帯当たりのCO_2排出量は、移転前と比較して倍以上に増加する一方、都市から都市へ移転する場合は、CO_2の排出量の変化は限定的であることが示された。更にTobit分析により、都市部への住民移転はCO_2排出量増加に対して有意に影響していることが分かった。都市化とエネルギー消費量・CO_2排出量との関係を、住民移転の観点から分析することで、家庭部門でエネルギー消費量・CO_2排出量を抑制するための知見を提示することができた。更に住民移転によるエネルギー消費・CO_2排出量の影響は、住民が元々居住していた地域により大きく異なることを示した。
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Journal of International Development and Cooperation
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http://home.hiroshima-u.ac.jp/devenv/