研究課題
若手研究(スタートアップ)
汚染環境での物質動態や浄化には、環境中に存在する多種多様な微生物の活動が深く関わっており、汚染による現場生態系への影響を適切に評価するには、それら微生物群集の機能や応答を生態系レベルで解析することが必要である。そこで本研究では、環境微生物群の汚染物質暴露に対する遺伝子応答を網羅的に検出するため、最新の分子学的解析手法(メタトランスクリプトーム解析)を確立し、複合汚染の生態系に及ぼす影響をより総合的に評価する新たな手法としての有用性を検討する。21年度はヒ素などの有害物質を含む環境サンプルからのPyrosequencingによるシークエンス解析量の妥当性の検討、Bioinformatic解析手法の確立、そして特定されたターゲット機能遺伝子の環境中での発現定量手法の検討を行なった。初期解析の結果、比較的微生物群集構造の単純な環境サンプルの場合、およそ4Mb程度のシークエンス解析量で、現場において優位に発現している機能遺伝子群の特定が可能であった。また、得られた全トランスクリプトームのおよそ93%がリボソーマルRNAであり、機能遺伝子発現解析の効率化には、試料調製段階におけるリボソーマルRNAの特異的除去が効果的である事が示された。環境サンプル中で発現の確認された機能遺伝子グループとしては、エネルギー生成・代謝や鞭毛タンパク質など微生物の生命維持活動に関わる機能に加えて、重金属耐性や代謝のような暴露に対する特異的応答と考えられる機能も検出された。これらの結果より、メタトランスクリプトーム解析を用いた汚染環境生態系における機能の特異性及び多様性解析手法としての有用性が示された。
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PLOS One 5
ページ: e9773
http://ehime-u.cyber-earth.jp/g-coe2007/en/index.aspx