研究概要 |
本研究課題では,電子顕微鏡法を用いメソ構造物質の三次元構造評価とその評価方法の開発を行う.平成21年度は,前勤務地からの透過電子顕微鏡の移設,立ち上げを行った.電子線トモグラフィを用いた構造評価を行うにあたり国内の利用可能な施設と打ち合わせを行い平成22年度からのプロジェクトの実施を決めた.また,メソ構造物質の合成を行う実験環境の整備を行い,本プロジェクトで用いる一部のサンプルが自前で作製できるようにした.その際必要となる界面活性剤や高分子ポリマーなどの原料は共同研究先から提供を受ける. メソ構造物質のひとつであるシリカメソ多孔体は,両親媒性物質の自己組織化能を利用して合成される.そこでは界面活性剤がシリカオリゴマーと協奏的にメソスケールの周期性を持った有機無機複合体を形成する.この複合体を焼成して界面活性剤を取り除くことにより,加水分解・重縮合したアモルファスシリカ部分が骨格として殘り,界面活性剤ミセルのあった部分がその形状を反映したメソ細孔となる.その中でもケージ型シリカメソ多孔体は非常に多様性にとんだ構造を示す.我々は菱面体晶系に属するTetrahedrally close-packed(TCP)構造型ケージタイプシリカメソ多孔体を新たに発見し,その構造解析を透過電子顕微鏡を用い行った.この構造は4種類のケージからなり,単位格子当たり13個のケージを含むことが明らかになった.
|