H21年度の研究より、以下の成果・知見が得られた。 1、 還元細菌を利用したPdナノ粒子の合成と連続反応装置の製作 種子成長法のシード粒子の最適化のために、微生物還元によるナノ粒子実験において、各種操作条件(初期Pdイオン・電子供与体・細胞濃度、反応時間)が還元率、粒子径、粒度分布、生成場に及ぼす影響を系統的に調査した結果、細胞表面上で、平均粒子径4-7nmのPdナノ粒子が高い分散性を保った状態で生成する条件を見出した。また液相Pdイオンの還元率の時間変化、TEM観察結果より微生物還元による粒子生成メカニズムを提案した。さらに細胞担持Pdナノ粒子の連続調製装置の作製を行い、現在は化学法を適応させる装置製作を取り組んでいる。 2、 細胞担持Pdナノ粒子の燃料電池電極触媒として性能評価 細胞表面に生成したPdナノ粒子を固体触媒と捉え、燃料電池(PEFC)の電極触媒としての性能を評価した結果、市販の触媒と同程度の電力密度を有するバイオ触媒の調製に成功した。また新規購入したCV装置を用いて、触媒性能評価(有効触媒表面積、劣化現象など)を測定した。 3、 還元細菌を利用したAuナノ粒子の合成と形態制御 近年、Auナノ粒子の触媒利用も注目されていることから、微生物によるAuナノ粒子の合成と形態制御に関する研究にも着手し、各種操作条件の制御により、Auナノ粒子の微生物還元・ナノ粒子化を達成した。 H22年度の計画 H21年度で得られた知見を軸に、バイオ調製したシード粒子を用いて異方性粒子の合成に本格的に取り組んでいく。さらに、H21年度で得られた成果に基づき、Pdナノ粒子のメタノール直接型燃料電池(DMFC)用触媒、異方性Pdナノ粒子のブタジエンの部分的水素化反応用触媒の性能評価を実施する。
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