初年度は、国内の使用済核燃料管理政策について、科学的手法に基づく定量的な評価と、それを材料とした主要な利害関係者へのインタビュー調査及び分析を行った。さらに海外の使用済核燃料管理については、主として文献調査と、国内に滞在した海外研究者へのインタビュー調査を行った。まず再処理政策の現状と将来の課題に関する定量的分析(準備、予備試算)として、日本国内の使用済燃料発生量の現状および2100年までの発生量、再処理の場合における分離プルトニウム発生量、高レベル放射性廃棄物発生量の導出を行い、さらに乾式貯蔵を導入したオプションを想定しコスト比較を行った。その結果、現状においては、早くとも数年以内には各発電所の使用済核燃料貯蔵プールは満杯になり、また再処理工場内の貯蔵プールもその本格操業が遅れているために2010年度には満杯になってしまう可能性を明らかにした。続く国内の現地調査は、佐賀県にある九州電力玄海発電所の立地地域において、玄海町長、反対派団体および地域住民にインタビューを行い、地元の賛成派と反対派の両方において、乾式貯蔵を受け入れる可能性があり得ることを見つけた。さらに、米国における使用済燃料管理の現状調査(国内での予備的な調査)として文献・資料調査及び国内に滞在した海外関係者とのインタビューを行った。その結果、米国においては民主党政権への変更によりエネルギー政策や使用済核燃料政策について大きな見直しが今後2年をかけて行われることが分かった。
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