研究概要 |
研究初年度にあたる平成21年度は、基礎資料の収集を研究活動の中心に据えた。平成21年12月にイギリス・英国図書館付属新聞図書館において本研究最初の海外文献調査を実施し、第二次世界大戦期に英領ゴールドコースト(現ガーナ)で発行されたThe Gold Coast Independent紙を参照する機会を得た。同紙の第二次大戦期の発行分は、報告者がこれまでに確認した限り、出版国のガーナを含む世界の他の図書館・文書館には所蔵されておらず、先行研究においても言及されていないものであるため、貴重な資料を収集することができた。当該資料はすべて'Fragile items(保護指定資料)'に分類されていたため、複写することは許可されていない。そのため、全て筆写もしくはパソコンへの手入力により記事内容の記録をおこなった。平成22年3月にはガーナ共和国への資料調査を実施し、同国公文書館(PRAAD)アクラ本館においては、第二次大戦期前後の日本=ガーナ間貿易に関する統計資料(ADM7シリーズ・特にOffice of the Government Statistician, 'Statistics of External Trade and Shipping and Aircraft Movements 1935-1953', February,1956.)を参照し、同館クマシ分館では、同時期にゴールドコースト植民地政府が放送したラジオ番組のスクリプト(ARG1/28シリーズ)を参照する機会を得た。いずれも、当時のゴールドコーストの新聞記事の分析を行う上で、日本との経済関係及び、植民地政府が提供していた戦争情報及び「敵国としての日本像」を跡づけるための重要な資料である。昨年は、その他、予備考察として5月にアジア世界史学会での研究報告(African Press Coverage of Japan and British Censorship during World War II : Case Study of the Ashanti Pioneer,1939-1945)を行い、現在当該報告原稿を英文の研究論文として出版すべく、最終的な内容修正をおこなっている。
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