初年度の今年は研究計画に則り、国内・海外で研究の基礎となる資料調査ならびに収集を行った。国内では主に青山学院図書館、同志社大学図書館の史料調査を行い、これまでの研究ではほとんど使用されたことのない植民地期朝鮮にキリスト教伝道や朝鮮からの留学生に関する史料を多数発掘できた。 海外に関しては、韓国での学会発表の機会を生かして、現地の大学図書館ならびに韓国キリスト教史の専門研究所である「韓国基督教史研究所」を訪問し調査を行った。この調査を通じて、1)韓国基督教史研究所が近年、国内や北米に散在する韓国キリスト教や宣教師に関する史料を体系的に複写・製本するプロジェクトを行っている、2)同研究所が収集した史料の一部が「韓国基督教史文献研究所」という別組織から復刻販売している、との情報を得た。このうち1)については、私が当初の計画として調査を予定していた北米の文書館から収集した史料も含まれることを確認できたため、後述する北米への出張調査の範囲を縮小することとした。2)については、早速、同研究所を訪問し、調査の基礎となる復刻版の史料集を多数購入することができた。結果的に1)で節約した費用を2)に回すことができ、大変効果的な史料収集を行うことができた。 北米出張では、上述の理由からペンシルバニア州の長老派図書館に焦点を絞って調査を行った。今回は主に「日本関係」に分類されている史料群の中から韓国関係の史料調査を行ったが、植民地期には日本宣教と韓国宣教が同じ宣教本部の管轄下にあったため、日本関係ファイルの中にも韓国関係の史料が多数見つけることができた。これらは既存研究では未知の史料であるため、今後の研究の進展、ならびに研究の独自性を高める上でも大変貢献するところが大きいと思われる。
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