研究課題
若手研究(スタートアップ)
英語の不変化詞が示す非対称性、価値付与、談話機能などを分析対象として、認知主体による世界の認知の仕方と、コミュニケーションにおける様々な制約がどのように言語に反映されているかを考察した。具体的には以下の三点の研究をした。第一に、反意的な不変化詞の対up-down、in-out、on-offが示す価値付与に注目して、その反転を動機づける認知的な基盤を論じた。第二に、言語の談話的な基盤に関しては、(a)不変化詞asideが示す談話機能、(b)upとdownが示す完了的意味、(3)条件節を導くunderの談話機能など、従来の不変化詞の研究では分析の対象外にされてきた、文法化が進んだ前置詞の意味を考察対象とし、プロトタイプ的な意味が示す前置詞のイメージスキーマが、不変化詞の談話機能を動機づけている点を論じた。第三に、方法論については、カリフォルニア大学のStefan Th.Gries教授と共に、統語的・意味的コーディングに基づく、反意語の研究を行い、意味に基づく定量的な分析を行った。また、この定量的な言語分析手法を日本語の分析へも応用した。具体的には、日本語の人称詞「こいつ」「そいつ」「あいつ」に見られる、「人」から「抽象物・事態」への指示対象の変化を論じた。以上の成果をまとめ、2009年度は3本の論文の執筆と、2本の国内外の学会での発表を行った。さらに、国際ジャーナルで2本の論文の掲載が決まった(2010年度に掲載予定)。また申請者が提案した定量的な言語研究の方法論を紹介する論文と、非対称性に関しての論文を執筆した。これらは、2010年度に、ひつじ書房と鳳書房から出版予定である。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)
Meaning, Form, and Body (掲載決定)
ICAME Journal 34(掲載決定)
JELS 26
ページ: 229-238
日本認知言語学会論文集 9
ページ: 121-131
認知言語学論考(ひつじ書房)
ページ: 191-226
http://sucra-rd.saitama-u.ac.jp/search/profile.do?lng=ja&id=WpfVHeyC
http://www.saitama-u.ac.jp/ceed/Naoki_Otani_CV.pdf