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2010 年度 実績報告書

ユダヤ的なものの言語態:フロイト、レヴィナス、デリダ

研究課題

研究課題/領域番号 21820008
研究機関武蔵大学

研究代表者

小森 謙一郎  武蔵大学, 人文学部, 准教授 (80549626)

キーワードユダヤ / 言語態 / フロイト / レヴィナス / デリダ / フィクション
研究概要

本年度の研究は、フロイトの『モーセと一神教』に関する昨年度の研究成果をもとに、フロイト・レヴィナス・デリダが共有している「ユダヤ的なもの」を明らかにすることにあった。彼らの議論に内包される「母なるもの」への眼差しが、性的差異の観点からして伝統的な男性優位の考え方にはもはや収容されないということ、またその限りにおいて彼らの言説が従来想定されてきたのとは別のユダヤ性を提示しているということ、これを彼らのテクストに則して示すことが本研究の目的であった。
そのために、今年度はまずレヴィナスとデリダの差異に着目しながら、にもかかわらず彼らがいかにして同じユダヤ性を共有しうるのか検討した。この点に関しては、フランス国立図書館で関連資料の調査を行った結果、彼らの共通の友人であったモーリス・ブランショの言説から、とくに大きな手がかりを得た。戦後のフランス思想にとって、三者の友愛は実り豊かな発展をもたらしたが、彼らがつねに一定の見解を示しているとは限らない。むしろその差異こそが「ユダヤ的なもの」の理解にとって重要でり、この観点から現在研究成果を論文としてまとめている。
また以上を踏まえ、あらためてフロイトのモーセ論を検証し直した結果、宗教そのものに対する考え方において、フロイト自身の立場が一定ではなかったことがさらに理解された。フロイトは宗教的教義を「錯覚」ないし「幻想」と捉えているが、彼自身もまた一種のフィクションに拘束されていたのであり、その拘束力こそが『モーセと一神教』を成立させている。この点についてはフロイトの友人であったロマン・ロランの宗教観と比較しながら武蔵大学人文学会にて口頭発表を行ったが、その内容を発展させて上記とは別の論文としてまとめており、こちらもできるだけすみやかに発表したいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] フロイトとロラン-「大洋感情」について2010

    • 著者名/発表者名
      小森謙一郎
    • 学会等名
      武蔵大学人文学会
    • 発表場所
      武蔵大学
    • 年月日
      2010-12-16

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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