研究概要 |
目的 本研究では、中国語二重他動構文自身の歴史的な変遷経路と軌跡を分析し、さらに言語の接触と浸透が中国語二重他動構文に与えた影響を明らかにし、中国語自身が必ずしも一次元な通時的階層をもつものではないという仮説を提示する。 内容 目的を達成するため、平成21年度と平成22年度とも、通時的研究と地理的研究を並行して行い、理論・推測・実証の三側面から総合的にこの仮説を検証していきました。歴史文法の世界では共時的に存在する地理的差異は言語の自律的な通時的変化を表していると考えられているが,本研究ではこの理論に従い,第一段階として文法形式の方言分布状況から通時的な変化を推定し,第二段階としてさらに文法形式の派生経路に関しても推定を試みた。平成21年度は主に地理的な考察をしまして、平成22年度は方言調査を続くと伴って、主に通時的な考察と類型論というさらに広い枠組みにおいて二重他動構文の意味と文法範疇を考察しました。方言調査については、都合によって、2週間をかけて貴州省に行って現地調査をしました。 結果 通時的と地理的な調査によって、地域を越えた中国語は同質の体系ではないことを主張した。文法の変遷は、必ずしも同質言語内で起こるわけではなく、そこには「構文の借用」、「構文の影響」という問題が存在しており、これまでの「単線的変化」理論の下で構築された変化のプロセスには再考の余地があることを明らかにした。
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