研究概要 |
今年度は、研究対象である十八世紀のモード雑誌Journal des Luxus und der Moden (Weimar, 1786-1827)に掲載されている雑誌記事の分析を中心に研究をすすめた。分析をすすめている間に、ドイツ・イェーナ大学において本雑誌の記事を分類しデータベース化するプロジェクトが進捗中であるとの情報を得て、イェーナ大学の研究成果を利用しながら研究をすすめることが可能となり、分析は予想以上にすすめることができた。記事のなかでも中心的に分析したのは、モード雑誌に毎号掲載されている「最新モード報告」である。この記事には、主にイギリス、フランス、ドイツの最新モード(主に洋服やアクセサリー)が各地の特派員による報告というかたちで紹介されている。最新モードの分析にあたっては、イギリスやフランスの服飾史についても並行的に調査をすることが必要となった。この「最新モード報告」では、主にイギリスとフランスがヨーロッパのモードを牽引する双極として対比されるように紹介されているのであるが、フランスモードを批判し、イギリスモードを称賛するという論調が多いことに気が付いた。この一連の記事が単なる最新モードの報告ではなく、フランスモードの批判を通じて、旧体制批判が意図されているのではないかと予想をたて、それを実証的に証明するために、フランス革命期のモードについて、さらにドイツジャコバン派についても調査研究をすすめることになった(研究成果は2011年4月3日開催の阪神独文学会で公表することになっている)。記事の分析にあたっては、キーワードをタグとしてデータベースに蓄積している。本研究を下地として、さらなる18世紀研究をすすめることが可能となると期待している。
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