研究概要 |
本研究費を用い、1920年-30年代にアメリカで出版された雑誌における、ヴァージニア・ウルフの受容を研究しました。分析対象となるのは雑誌編集者によるウルフのテクストへの加工と、テクスト外における加工(作品紹介文や、他の作家による言及)です。特に、ウルフが執筆した批評・エッセイ・短編等の小品が雑誌に掲載されることでどのように変化し、読者にどのように提示されたかに焦点を当てて分析しました。 本課題を遂行するため、アメリカの大学図書館(University of VirginiaとUniversity of California, Berkeley)へ赴き、資料(ウルフが執筆した小品、および編集者や他の作家によるウルフへの言及が含まれる記事)を合計100編以上収集することができました。当初はThe Dial誌を中心に据えて研究を始めましたが、研究を進めるうちに、アメリカにおけるウルフ小品の最大の掲載先であった雑誌The New Republic誌の重要性に気づき、この雑誌を重点的に調査しました。 The New Republic誌におけるウルフの受容研究の第一段階のまとめとして、2009年11月7日に明治大学で開催された日本ヴァージニア・ウルフ協会、第29回全国大会のシンポジウム「Theatricality/Anti-theatricalityとウルフ」の講師をつとめ、研究発表をしました。また、この発表原稿をもとに論文を執筆し、日本ヴァージニア・ウルフ協会学会誌に投稿します(締め切りは2010年4月10日)。さらに、2011年に開催予定のMLA学会のパネル"Serialization and Transatlantic Print Culture"において、本課題を発展させた研究を発表したく、2010年3月15日にプロポーザルを提出しました。
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