研究概要 |
「1920-30年代のアメリカの雑誌におけるウルフの受容」研究を遂行し、口頭発表と投稿論文の形で成果を発表した。 <学会発表>大学院生シンポジウムを企画主催し、同会において「アメリカニズムと二人のヴァージニア・ウルフ-The New Republic誌における"The Movies and Reality"と"On Not Knowing French"の受容-」という題名で口頭発表を行った。ウルフの"Jane Austen at Sixty"はThe Nation and the Athenaeum誌に1923年、続いてThe New Republic誌に1924年に掲載され、その後、大幅な削除や別のテクストとの合併を経てエッセイ集に"Jane Austen"として再録された。しかし、この過程には十分な注意が注がれてこなかった。本論では、この過程を無視することで各テクストの意味が抹殺されてしまう危険が生じると指摘し、さらに、各テクストを固有のバージョンとして扱うことで何が見えてくるかを論じた。 <投稿論文>日本ヴァージニア・ウルフ協会の学会誌『ヴァージニア・ウルフ研究』において、"Virginia Woolf's Jane Austen at Sixty' in The New Republic, An Independent Version"という題名で論文を発表した。本論ではThe New Republicに掲載されたウルフの二編のエッセイ"The Movies and Reality"と"On Not Knowing French"、およびこれらに対する雑誌側の反応を分析し、雑誌内で二人の矛盾するウルフ像が作り出されていたことを指摘した。そして、当時同誌内で広く認められたアメリカニズムを概観し、アメリカニズム確立の過程にいかにしてウルフが巻き込まれていったかを論じた。
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