研究概要 |
本研究では、日本語教師へのインタビューによる意識調査と文献調査により、日本語教育において実践研究がどのように行われてきたのかという実態を把握し、問題点を明らかにすることを目的とした。その上で、実践研究の理論を現場の教師の問題意識から捉え直し、日本語教育学的実践研究の新しい理論的枠組みの一試案を示すことを目指した。 平成22年度は、前年度から引き続き,文献調査,インタビュー調査を行った。文献調査については,教育心理学の分野における授業研究の問題を論じた論考,アメリカ、ヨーロッパ、アジアの学校教育の分野におけるレッスンスタディ事例について論じた論考,社会学,心理学の分野において論じられているアクション・リサーチについての論考を収集し,内容を分析した上で,これらを網羅的に体系化し、データベース化した。 インタビューで得られた結果については,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)の手法を用いて分析し,日本語教育学的実践研究の理論に関する仮説生成を行った。さらに,研究・調査の結果を基に、日本語教育学的実践研究の概念の更なる考察、検討を行い、モデル構築の為の原案を作成した。また、プロトタイプの検証を通じて、課題を明らかにし、仮説モデルの修正版を作成し,「対話的アセスメント」という実践研究に関連する新たな概念を提示した。 これらのインタビュー調査、実践の分析・考察を学会で発表し,最終的な成果を論文にまとめ、公表した。
|