本年度は、議会開設前夜における政党認識に関する検討作業を行った。具体的には、(1)西洋を論拠に政党を肯定的に捉える議論、(2)西洋を論拠に政党を否定的に捉える議論、(3)伝統思想や欧化主義批判を背景に政党を否定的に捉える議論、(4)伝統思想や欧化主義批判を唱えながら政党を肯定的に捉える議論の四つのグループに分けた上で、それぞれのグループに属する人々の政党認識を、(1)「政党」とはそもそも何なのかという政党概念の問題、(2)政党が政治機構・政治過程においていかなる位置を占めるべきだと考えていたのか(たとえば政党内閣制を主張していたか否かなど)という政党の政治的役割の問題、(3)そのために政党はいかなる組織を持ち社会といかなる関係性を有するべきかという政党組織の問題、という三つの要素を中心にして分析した。その成果の一部は、論文「政党認識における欧化と反欧化」(安在邦夫他編『近代日本の政党と社会』所収)として発表することができたが、これ以外にも現在別稿を準備中である。また高知県立図書館および高知市立自由民権記念館に資料調査におもむき、自由党土佐派に関連する資料を収集した。また国立国会図書館、宮内庁書陵部、早稲田大学図書館所蔵の関連資料についても資料調査・収集を行った。また早稲田大学文学部所蔵「深谷博治旧蔵文書」のうち、政党に関連すると思われる部分について、アルバイトを雇用して整理・調査・データ入力を行うとともに、来年度以降の研究に向けて、議会開設後の政党に関する資料の収集も積極的に行うことができた。
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