研究概要 |
平成21年度に行った研究の続きとして、学習者が既に知っている単語の知識がどのように再構築されているのかを調べた。前年度には、日本語の訳語が2つ以上ある意味が中心義を持ち(例:breakの中心義には「壊す」、「割る」などの訳語がある)、かつ中心義以外の意味についての訳語も3つ以上ある単語計4語について、単語の中のどのような意味がより学習者に理解されているのかを検証するためのデータ収集を行ったため、このデータについて分析を行った。この結果、訳語として使われた日本語の関連度よりも、意味が中心義か、それとも中心義以外の意味かという要因の方が学習者の語彙知識に大きな影響を及ぼしていることが判明した。この結果についてはthe 20th European Second Language Associationと第3回JACET英語語彙研究会&英語辞書研究会合同研究大会で発表を行い、現在投稿論文を執筆中である。この研究結果に基づいて、中心義とその他の意味に焦点を絞り、日本人英語学習者が中心義を知っており且つその他の意味を知らない場合について、その目標語をどのように解釈するのかを調査した。このテーマについてはUshiro, Hoshino et al.(2010)でも発表されているが、目標語の特徴の違いによる解釈の変化については研究されていない。具体的には、意味同士の関連性が強い多義語、意味同士の関連性が弱い多義語、そして意味同士の関連性が無い同音異義語の解釈を比較するためのデータを収集した。この結果については、今夏の学会で発表する予定である。
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