バイリンガルが日本語と英語の間でコードスイッチング(言語切り替え)をしている発話を収集し、挿入、切り換え、定式表現などのモデルを使って文法構造面から分析をするのが、この研究の目的であるが、本年度は最初の段階としてデータの収集を行い、次に書き起こしを始めることに重点を置いた。 コードスイッチングを日常的に使用している国際学校のバイリンガル生徒・卒業生の会話を映像と音声の両方で記録した。コードスイッチングは、フォーマルな場面では起こりにくく、リラックスをしているときによくみられる傾向があるので、そのような場面を設定することに配慮した。会話の録音は、こちらで依頼したバイリンガルのインタビューアー(卒業生・生徒)が、他のバイリンガル生徒に話しかける形をとったインタビュー形式のものと、生徒会のミーティングをそのまま録音したものを行った。合計13回の録音が行われ、音声と映像はデジタルデータとして、コンピューターのハードディスクに保存し、13枚のDVDを作成した。このDVDをもとに、書き起こしをバイリンガルの卒業生に依頼し、7回分の書き起こしが完成した。 日本国内では希少な国際学校(帰国生用の学校とインターナショナルスクールのデュアル・スクール)という環境、友人間でのリラックスをしたインタビュー形式という方法が、効果を表し、日本語と英語のコードスイッチングのデータが、数多く得られたことは、本年度の成果であり、横断的研究をするという目的にもかなうものとなった。書き起こしには、汎用性のあるバイリンガルデータ専用のフォーマットを用い、また各被験者の言語背景についてのデータも集めたので、多角的な分析が可能になると考えられる。
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