本研究は知識情報の高度利用による次世代型ミュージアムの実現を目的とし、ウェブ・オントロジ技術の応用による新たなミュージアムコンテンツを基盤としたAR(拡張現実)型展示支援システムの開発を行っている。平成21年度は、研究に関連したシステムの研究・分析として、国内の先進的事例や関連研究について調査を行っており、それらの事例における問題点や課題点の抽出と、それらの分析を行っている。調査を行った施設としては、(東京)東京国立博物館・国立科学博物館・東京ミッドタウン/ユビキタスアートツアー・お台場/ソニーエクスプローラサイエンス・六本木ヒルズ/森美術館、(京都)京都国立博物館・京都市美術館・京都府京都文化博物館・(奈良)奈良国立博物館を訪問調査している。その他、関連の論文や著書等についても調査を行った。また、それらの事例に関する分析データを基礎として、開発システムの基礎設計と開発を行っている。今年度における開発としては、基礎設計データを元に、データ開示のためのサイト設計と公開サーバを試験的に立ち上げ、その実装を行っている。また、実装したデータベースへのデータの登録も行ない、オントロジ技術の応用による属性情報を付加した知識情報の蓄積を進めている。さらに、それらのデータをインターネット上から取得し、展示物とオンラインで取得した仮想情報とを融合するAR(拡張現実)型展示システムの基礎設計と、その詳細設計までの落とし込みを行っている。それらの取り組みについては、(平成21年10月24日)デザイン学会第五支部にて、「オントロジ技術による知識の構造化を基盤とした拡張現実型展示支援システム」と題した口頭発表を行った。平成21年度に進めた基礎段階の開発を基に平成22年度においては、本格的な展示システムの開発として携帯型展示端末の開発とそれらを用いた実証実験を行う。
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