研究概要 |
21年度の研究では、「テンポを捉えることと英語リスニング能力の間には正の相関関係がある」という仮説を音声実験により検証した。音声実験は日本人英語学習者(短大生)を対象に次の手順で実施した。 まず被験者に静かな個室で、500msにセットされたメトロノーム音を聞かせ、英文:"/JEFF will/GO to the/DENtist on/FRIday./"の各強勢をメトロノームに合わせて発話する練習を課した。練習後、メトロノームに合わせた発話(メトロノームの音は消して録音)を、マイクロフォンを通して直接パソコンに録音した。同様の手法で他のテンポ(300ms,400ms,600ms,750ms,1000ms,1200ms,1500ms)についても録音した。録音した音声は、Sugi-Speech Analyzerという音声分析可視化ソフトを用い、音圧及びサウンドスペクトログラムを基に強勢間の発話時間を測定した。本実験では、テンポは500ms,1500ms,600ms,1200ms,400ms,750ms,1000ms,300msの順で録音を行った。 強勢間の発話時間と被験者が受験したTOEIC Bridgeのリスニングスコアを比較した結果、両者間にはかなりの相関がみられた。つまり、英語リスニング能力が高い日本人英語学習者ほど、強勢間を等時間隔に発話する傾向があることが判明した。なお、この研究結果は学会で発表済みである。 また、母語が本実験結果に影響を及ぼすか否かを考察するため、上記と同様の音声実験を15名の英語母語話者にも実施した。 22年度は、さらに多くの英語母語話者のデータを収集し、英語母語話者と日本人英語学習者の音声実験結果の比較を中心に考察していく予定である。
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