研究概要 |
本年度(平成21年度)は2年計画の1年目である。それゆえ2年目の推計に備えて、データの収集と方法論の習得を行った。 第一に、データ収集である。中国については2009年12月に出版された『新中国六十年統計資料匯編』を購入し、遡及推計されたデータで1952-2008年の推計が可能となった。日本は1955-2006年のデータが収集できた。なお、台湾については中華民国行政院主計処でヒアリングを行い、全ての地方行政レベル(市と県)のGDPが存在しないことを確認した。その他の国については、研究協力者に収集を依頼し、韓国・ブラジルについては1985-2007年、インドについては1980-2008年、メキシコについては1993-2006年の分析が可能となった。 第二に、データの信頼性である。特に中国の地方レベルのGDPについては、その定義についての混乱がみられ、正確性・信頼性について懸念されている。そこで中国経済統計研究における代表的論者である許憲春の一連の文献(『中国GDP統計』新曜社や"The Establishment, Reform, and Development of China's System of National Accounts." Review of Income and Wealth, 55(s1)等)の読解を進め、GDPの推計方法と諸問題を理解した。それを踏まえて、2010年3月16日、中国国家統計局で1人当たりGDPの定義についてヒアリングを行い、併せて過去に出版された統計資料の複写を行い定義の変遷の確認を行った。そして本年度に収集を行ったデータを用いて、東アジア・新興国と、産業別GDPの地方合計値と全国値との乖離の比較研究行い、正確性を検討する準備を整えた。 第三に、地域事情の把握である。推計結果の解釈に必要となる各国の地域経済事情のレポートを研究協力者に作成してもらい(韓国・ブラジル・メキシコ・インド)、同時に中国と比較対象国の文献を購入した。 最後に、分析方法論である極化尺度(Esteban and Ray index、 Foster and Wolfson index、 Wand and Tsui index等)の習得を行った。
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