本研究の目的は、日本における退去強制手続きの対象者である非正規滞在者の人権保障問題について、国際人権法の観点および比較法的観点から検討することである。そのために、まず、日本における非正規滞在者の実態を把握するとともに、彼らの退去強制に際する人権保障問題について、日本国内における関連する国際人権諸条約の条文解釈および条約履行の現状を把握することに努めた。次に、ヨーロッパ人権裁判所の関連判決の分析を行った。そして、比較法的な視点から得た示唆を踏まえて、日本における非正規滞在者およびその家族の退去強制にかかる人権保障問題の所在を明らかにし、具体的な法的解決策について検討している。
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