本研究は、児童・青年の感情育成(以下、情育)のための心理教育・治療プログラムの開発が目的である。まず、平成21年度は既存の感情に関わるさまざまな心理教育と介入法のレビューを行い、文献研究を中心に行った(4月~12月)。また、国内学会等に参加し、プログラム開発のための貴重な情報交換を行った。これに加え、発達段階別での調査として、小学4年生から中学3年生を対象に予備調査を行い逸(高校生、大学生、大学院生、および養育者への調査に関しては現在交渉中)、感情に対する価値観や態度、自他の感情を認識したり表出したりする感情制御等を測定する尺度を作成した。その結果、怒りや悲しみ、不安といったネガティブな感情に対してはどうしても否定的な評面に陥りやすく、必要性を見出し難い傾向があり、また感情を制御する能力は感情に対する否定的な価値観・態度とも関連しており、児童・青年に対して感情に関する心理教育を進める必要性が明らかとなった(平成22年1月~2月)。よって、本研究では怒り、悲しみ、不安の3つの感情に着目し、児童・青年が自身の感情の理解を促し、感情を十分に体験できるようにるため、現在介入法の考案に取りかかっている(平成22年2月~3月)。 これらの文献研究、予備調査の結果を基に、平成22年度では実際に考案された介入案を小・中学校の教員と内容について吟味しながら児童に対して試験的に導入し、問題・改善点等の検討を行っていく(高校~大学院、養育者に関しては調査同意が得られ、データが揃い次第、順次プログラムを考案、導入して検討する)。そして最終的には平成21年度に作成された尺度を用いて効果比較を行い、本研究におけるプログラムの有効性を検討する。また、平成22年度の国内学会等で平成21年度に実施した調査結果を発表する。
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