本研究は、児童・青年の感情育成(以下、情育)のための心理教育・治療プログラムの開発が目的であった。平成22年度は、昨年度に引き続き既存の感情に関する様々な心理教育、介入法に関する文献研究を実施した(4月~9月)。また、昨年度実施した調査結果をまとめ、国内学会にて研究発表を行い、貴重な意見交換ができた(9月)。情育のためのプログラム開発に関しては、これまでの文献研究を基にしたプログラムを小学生用(「気持ちってなあに?」、「気持ちはよいもの?わるいもの?」の2回)、中学生用(「気持ちはなぜ起こるの?」、「気持ちを整理するために」の2回)、養育者用(「感情の意味って何だろう?」の1回)、加えて医療機関において実施する治療プログラム(「あなたの今の気持ちを表すものは?」の1回分の介入案)の計4種類を考案した。実際に実施できたものは、養育者用と医療機関用の2種類であった。養育者用の案においては、「自分の気持ちの整理ができた、子どもの気持ちを理解することができた」などの感想、また医療機関においては「自分の今の気持ちを言葉で見つけることができるようになってきた」などの感想があり、概ね介入協力者における内容の理解と満足度の確認ができた。しかし、介入協力を要請していた各学校の諸事情により、協力が得られ難くなってしまったり、プログラム案がなかなか決め切れなかったことなどもあり、当初計画していた全対象者への介入、およびその効果検討に至れなかったことが今後の検討課題である。したがって、今後としては引き続き協力要請を行い、4、5月頃までに各学年において介入案を実施し、その効果検討を行いたいと考えている。
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