平成21年度は、予備調査を行ってきた調査対象者からのフィードバックを受け取りながらその成果を発表していくことができた。予備調査を行った自傷行為経験者は次の6名である。Aさん、19歳女性、首都圏在住。Bさん、19歳女性、地方在住。Cさん、22歳女性、首都圏在住。Dさん、22歳女性、地方在住。Eさん、37歳男性、首都圏在住。Fさん、38歳女性、首都圏在住。Aさんには21年6月に、Cさんには21年12月に対面インタビューを行うことができた。Fさんには21年11月に電話インタビュー、21年12月にパソコン通信を利用したスカイプインタビューを行うことができた。BさんとDさんには、対面インタビューと電話インタビュー・スカイプインタビューを組み合わせてインタビューを繰り返し行うことができた(Bさん、21年5月に電話インタビュー、21年8月に1回・11月に2回スカイプインタビュー、22年2月に対面インタビュー。Dさん、21年4月に電話インタビュー、21年6月に2回、21年7月に1回、21年11月に1回、21年12月に2回スカイプインタビュー、22年2月に対面インタビュー)。Bさんへのインタビューの成果は、22年3月に行われた教育保健学会第7回大会で一般報告として公表した。また、Dさんへのインタビューの成果は、関東社会学会の学会誌に投稿した(現在査読中)。Cさんへのインタビュー調査の成果は、現在企画中の共著の原稿として編者に提出した。Dさんには平成18年から、他の5名は平成17年から継続してインタビュー調査を続けている。自傷行為経験者に対して、カウンセラーや医師という立場以外から、これだけ長期的なインタビューが行われた研究は非常に少なく、自傷行為の現状と本質について明らかにするための重要な知見が得られることが期待できる。
|