平成22年度は新規のインタビュー対象者として、3名の自傷行為経験者と、地方の公立高校で学校相談援助を担当する教員に対面インタビューを行うことができた。新たに話を聴くことが出来た自傷行為経験者は、首都圏在住の19歳の女性が2名、首都圏在住の40代の女性1名である。 また、平成21年度に引き続き、今までインタビューを行ってきた自傷行為経験者にもインタビューを行った。 平成23年1月には、6年間インタビューを続けている地方在住の20歳の女性に、対面インタビューを行った。 平成23年2月に、5年間インタビューを続けている地方在住の23歳の女性に、対面インタビューを行った。 研究成果について、共著『図説 教育の論点』の中で「死にたい。でも、生きたい-リストカットに寄り添う」の項目を担当し、一般向けにまとめることができた。また、現在企画中の共著の原稿として編者に提出中であり、23年度中に刊行される予定である。 平成23年3月に福島大学で行われる予定であった日本教育保健学会第8回大会でも、研究成果について報告する予定であったが、東日本大震災と原発事故の影響で学会が中止になり、残念ながら平成22年度は学会報告が出来なかった。 自傷行為経験者に対して、カウンセラーや医師という立場以外から、これだけ長期的なインタビューが行われた研究は非常に少なく、自傷行為の現状と本質について明らかにするための重要な知見が得られた。今後は、得られた知見を発表しながら継続的にインタビューを続けていきたい。
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