研究課題
若手研究(スタートアップ)
環境内を自在に移動する能力は私たちにとって非常に重要な能力であるが、そうした移動行動の制御には、光学的流動などの視覚運動情報と、前庭刺激のような非視覚性の情報の統合的処理が関与していると考えられる。移動行動中の視覚-前庭情報間の相互作用について実験的に検討するため、車いすとパーソナルコンピューターを主要な構成要素とした実験装置を作成し、移動行動時に提示される前庭刺激と光学的流動が一致・不一致となる状況を人工的に再現した。視覚-前庭情報が一致・不一致な条件下で、それぞれ光学的流動の検出感度がどのように変化するのかを検討したところ、実際の移動方向と光学的流動が不一致である場合に、光学的流動の感度が上昇することが明らかになった。これらの結果は、私たちの視覚系には、移動行動中にそれに伴って生じる大域的な光学的流動を背景情報として抑制するようなメカニズムが存在する可能性を示唆する。今後は、こうした視覚-前庭情報間の特徴的な相互作用が発達のどの段階で獲得されるのかを検討する。特に移動行動獲得前後の乳児を対象とした実験的検討から、私たちの移動行動を制御するメカニズムがどのように構成されるのかを解明することを目指す。
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