研究概要 |
本研究は,最近日本社会に増え続けてきた在日中国人に焦点を当て,従来の認知行動療法による適応内容を対象者に押しつけることを回避し,より適応する側に視点を置くラボラトリー・メソッドによる「体験学習(Experiential Learning)」という異文化への適応法を採用し,在日中国人の日本文化適応を支援するために,訓練プログラムの提供と検証を目指した。 実施については,まず訓練に用いるプログラムを作成した。初年度の自由記述調査で浮かび上がった中国人学生の日本適応のニーズを整理し,項目化を行った。その上,項目を質問紙に編成し,アンケート調査を行った。そこから,中国人学生の日本適応にあたって,「集団のルール」,「心理的ストレス」,「日本的思いやり」という3つの因子にまとめた。文化適応の文化共通性と特有性を踏まえ,体験学習のプログラムに倣い,文化共通のプログラム(社会的スキルの理解,メッセージの伝達,集団討議のプロセス)と日本文化適応のプログラム(ルールの気づきと遵守,日本社会での行動作法,ストレス低減のテクニック)をそれぞれ3回,合計6回作成した。 次は,在日中国学生を対象に訓練を行った。中国人留学生22名を募集し,一週間1プログラムのベースで上記に作成したプログラムを実施した。実施の前後に社会的スキル尺度,ソーシャルサポート尺度,さらに日本人の人間関係を認知する映像テストなどを用いて,測定を行った。また,訓練の維持効果を測定するために,実施終了3ヶ月後に,追跡調査も行った。結果は現在分析中である。
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