研究課題
本研究では新生児から生後15ヶ月まで縦断的に追跡し、自他の類似性理解とその発達を精細に検討すると同時に、他者の心の理解及び社会的相互作用に関するデータも収集し、各時期の発達現象がどのように連関しているのかについて検討することを目的としている。本年度は主に生後7~15ヶ月の間の調査を実施した。昨年度に引き続き、各月齢に1回、大学の研究室で測定を行った。測定項目は月齢によって異なるが、自他理解(マークテスト、模倣されること、「見る」ことと「知る」こと)、社会的認知発達(共同注意、模倣、意図理解、心の理論、援助行動、協力行動)、養育者との相互作用などである。パソコンやモニターを用いて提示される視覚刺激への注視を測定する実験だけでなく、対象物を用いて先行研究に従った手続きによる行動実験、また、一定の玩具を用いた母子相互作用の記録を行った。測定したデータは最終の分析を現在実施中であり、まだ妥当性の高い分析結果を公表できる段階にはない。しかし、現時点で明らかになりつつあるデータは、模倣という項目1つに焦点を当てても、どのような行動を提示するかによってその発達は一様でないことである。例えば、対象物を用いた操作模倣は比較的早期から観察されるが、ジェスチャーを含む身体運動の模倣は時期が遅れて観察されるようである。項目毎に結果を検討するのではなく細やかな分析を進めて行くことで、従来とは異なった形で、発達現象間の連関性を検討できる可能性がある。
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