平成21年度は船舶起因の油による海洋汚染が生じた場合の環境損害の賠償・補償制度の考察を行った。さらに、平成22年度は、海洋に係る環境損害に関する考察を踏まえて、土壌及び大気に係る環境損害についても考察を進めた。環境損害に対する責任制度を導入する必要性が既に主張されている一方、これを導入するに当たっては、土地取引の買主(土壌の場合)や油濁被害者(海洋の場合)の保護が後退しないよう慎重な制度設計を行うことが望ましいということを大気、土壌、海洋といった各媒体を比較しながら主張した。かかる主張はこれまで示されて来なかった問題意識であり、本研究において得られた重要な知見であると考える。
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