研究課題
本研究では、各企業に固有の資源によって、それぞれの市場観、すなわちどのような範囲で製品市場境界を認識しているかが異なるという側面に焦点を置き、両者の関係を実証的に明らかにすることを目的としている。二年目の平成22年度は、前年度に行った理論的検討、及び方法論的検討を引き継いだ分析を行い、その成果報告に取り組んだ。本研究は、製品市場境界に関する企業の認識を明らかにすることを目的にしていたが、前年度の理論的及び方法論的検討を行う中で、非意図的な行為とその結果、あるいは言説を通じた構成として、市場参加者である企業の市場認識が事後的に成立するという側面の重要性に気づくに至った。そのため、平成22年度の研究においては、当初の計画通り、特定の産業・市場における、主要企業の市場認識を検討する経験的研究を実施する一方で、そうした認識が形成されるメカニズムについての理論的研究も、前年度から継続して行われた。特に、Robert Chia and Robin Holt (2009)による棲み込み(dwelling)モードと建築(building)モードの切り替えという議論を元に、どのように市場に対する認識が刷新されるかについて考察を深めた。その成果は、リスボンで開催されたEuropean Group of Organizational Studiesの26th EGOS Colloquiumで報告を行い、Chia=Holtらの研究グループと直接意見交換を行った。その後も、2012年度にヘルシンキで開催されるEGOS Colloquiumでの研究報告に向けて、メール等での議論を継続している。個別の経験的研究に関しては、海外ジャーナルJournal of International Business Researchへの掲載をはじめ、国内ジャーナル『流通研究』へも現在投稿中である。また、グアムで開催されたICBEITでも研究報告を行った。
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Journal of International Business Research
巻: Special Issue, No.2 ページ: 1-16
首都大学東京社会科学研究科, リサーチペーパーシリーズ
巻: No.76 ページ: 1-16