研究概要 |
平成21年度にはシルバーハウジングの居住者およびケアマネージャーを対象とした聞き取り調査を行った。前者の調査では東北地方のA市に所在する2ヶ所のシルバーハウジングの居住者12名(女性7名,男性5名)に対する個別インタビューを行い、シルバーハウジングでの生活において良かったことや不自由なこと、介護保険サービスの利用法、家族との関係、LSAに対する要望などを尋ねた。全般に身体機能の低下に伴い日常生活での外出・家事等において1人で行うことが難しい状況が増すことが示されたが,A市内に居住する別居子等から随時のインフォーマルサポートが受けられる場合には,生活上の困難と見なされてはいなかった。そうしたサポートが不十分な場合には、困難ながらも自分で行ったり、関連サービスの購入といった対応がなされていたが、経済的状況や関連サービスについての情報量には差が見られ、ニーズの充足状況に影響していた。LSAに対する評価としては,安否確認に対しては肯定的な意見が多かった一方でその他の具体的要望はあまりだされなかった。この調査からは、インフォーマルサポートが得られない居住者に対する生活に関連する社会資源についての情報提供や、介護保険サービスの範囲外での日常生活支援が今後の課題として示された。ケアマネージャーに対する調査では、H21年度は異なる地域に勤務する2グループ13名を対象としたグループインタビューを実施し、独居および夫婦世帯の高齢者が在宅生活を継続できた事例および継続できなかった事例とその要因、キーパーソンへの要望、護保険サービスを有効に活用するために役立つと思われるコミュニティケア等についての意見を収集した。この調査はH22年度も継続しており、現行制度下でのケアマネジメント事例に基づき高齢者世帯での居住継続条件を抽出した上で、次年度のアンケート調査の基礎資料として用いる。
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