研究概要 |
高齢者世帯における要介護者の居住継続に影響を与える要因を明らかにし、多様な高齢者の生活実態に対応した効率的な居宅サービスのためのケアマネジメントモデルを提示することを目的としたケアマネージャーを対象としたアンケートを行った.調査対象は宮城県内に住所をおく居宅介護支援事業所572ヶ所に勤務するケアマネージャーで,各事業所に3通ずつの質問紙を送り回答を依頼した.調査内容は,独居または夫婦世帯の高齢者を対象として在宅生活が継続できた事例および継続困難だった事例,高齢者の在宅生活を継続させるための条件に対する必要度,個人属性,独居または高齢者世帯のケアマネジメントについての自由記述であった.アンケート用紙は3月9日に発送し,3月25日までの投函を求めたが,3月11日に発生した東日本大震災の影響で回収率は著しく低下し,4月25日現在で回収数は51通(回収率:2.97%)に留まっている.従って,残念ながら量的調査の結果を統計的に分析することで高齢者世帯での居住継続に影響を与える要因を明らかにすることは困難な状況であるが,本人・家族の在宅生活継続への意欲,サービス利用のための経済力,緊急時の保証人等の確保,通院手段の確保,必要時のショートステイの利用の必要度を高いとする傾向が見られた.事例については,居住継続事例77件,居住困難事例35件の回答が寄せられており,今後内容を整理してケアマネージャーに現任者研修の資料等として活用することが可能である.
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