オランダ労働契約法制では、1990 年以降、使用者側からの労働条件の一方的変更と労働者側からの労働条件の一方的変更に関する大きな変化がみられた。これは、使用者側の経営の柔軟性に対する要請とワークライフバランスの要請が働いたものであるが、こうした変化により、オランダでは、労働条件変更法理に関する立ち入った理論的検討が行われている。わが国では労働契約法10条に使用者による労働条件の一方的変更ルールが制定されたが、労働者側からの労働条件変更ルールについての議論が希薄である。労働条件変更法理に関する理論的基礎に関する立ち入った考察とともに、ワークライフバランスの観点から、労働者側の労働条件変更ルールについて議論を行う必要があろう。
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