研究概要 |
本研究は,「ドメスティック・バイオレンス担当支援者の二次加害防止策の構築」をめざし,支援者の二次加害行動や現象に焦点を当て,相談実務の内容の実態を把握し,支援者の二次加害防止策の具体的な方針や規定の枠組を考察することを目的としている. 研究の第一段階として,今年度はDV担当支援者の相談実務の実態調査を行った.具体的には,東京都・神奈川県の福祉事務所,女性相談センター,子ども家庭課等といった公的機関に所属するDV担当相談員352名を対象に,郵送のアンケート調査を実施した.アンケートの内容は,「基本質問(属性について)5項目」「相談業務において求められるものについて20項目」「相談業務における負担感・困難感について4項月」の合計29項目と,「相談業務を行う上で必要とするサポート体制について」自由記述にて回答してもらうものとした.同時に,第二段階のインタビュー調査協力者を募った.その結果,104名より回答を得ることができた.この調査より,DV担当支援者が困難を抱えている状況や必要としているサポート内容が明らかになってきている.また,第二段階のインタビュー調査には10名の現役相談員の協力を得られる予定となっている. DV問題においてはこれまで,支援者は知識や技術を習得したり振り返ったりする場がない状況が続いているケースがほとんどであったために支援についてのスタンダードが確立されていないのが現状であった.この実態を明確にし,その背景についても調べたことは,DV担当支援者を取り巻く状況を改善する一助になり得ると考える.
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